Clásicos japoneses con furigana
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つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
Lee つばくろ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.987 caracteres · 44 pantallas
ときどき短かい話しを交わすと、いつもお互いの小さい頃の思い出であった。
「そしてつい先夜のことですが、森さまは奥さまがお部屋へ去られてから、私をお呼びになって、泣きながらこのようにお話しなさいました」
松助は呻くような声で云った。三之助は自分とおいちとの関係を語ったのである、それは高雄がおいちから聞いたのと同じもので、彼は自分が庶子であることもうちあけた。……江戸へ養子にゆくことに定り、ゆくまえにひと眼だけ逢いたいと思い、逢うと一度では済まず、二度、三度と重なるうちに、こんどは離れることができなくなったいきさつ、それも隠さずに語った。
――高雄の計らいで猿ヶ谷へ来て、おいちと二人になったとき、自分はすぐに気がついた、自分の気持は恋ではなかった、母のように、姉のように慕っていたのである、愛情というものを知らなかった自分に、おいちが初めて、この世でたった一人、愛情を示して呉れた、……生れて初めて、愛情のあまやかさを知り、温かな心の喜びを知った、そうしていかなる犠牲をはらっても、おいちを奪い取りたいと思ったのである、だがいざ望みどおり二人だけになったとき、自分にはおいちの手に触れることもできなかった。