Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lee みなかみ紀行 (みなかみきこう) de 若山 牧水 (わかやまぼくすい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 102.087 caracteres · 203 pantallas
いつの間にか話声はぴたりと止んで、例の吐すうめきが起り出した。階下の船室から這い出して来て欄干にしがみつきながら吐いている若者もあった。ものにつかまりながら辛くも立ち上って沖の方を見ると空は物凄いほどにも青く冷く澄み渡って、沖一面の白浪が泡立ちながら此方を目がけて寄せて来ているのである。この西伊豆の海岸は、西風の吹き出す秋口から冬にかけてよく荒れがちであるのだそうだが、終に今日もその例に漏れぬ事となったのである。あとで聞くと、その荒れるうちでも今日のなど最も強いものであったそうだ。
土肥には寄るには寄ったが、なかなか艀が近付かない。またそれに乗り移る時汚物によごれた婦人客の有様など、見て居られなかった。そして此処ではまだずっと先きまで、松崎とか下田とかまで行く可き人のうちでもものを吐き吐き下船する人が随分あった。いたましい汽笛を残してこの小汽船米子丸はまた外洋の白浪の中に出て行った。土肥は温泉のあるため乗降客は多いが港らしくなっていないので船は永く留っている事も出来ぬのである。
土肥を出て直ぐ、私は眼覚しい風景に接した。高い岩壁に沿うて十丈又は十五丈もある黒鉄色の岩礁が二三本鎗の穂尖の様に鋭く並んで聳え立って居る。