Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lee アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 129.168 caracteres · 267 pantallas

Aozora Bunko

晃一は冷めたい妻の顔に頬ずりして、泪にくれた。

5

葬式を済ましてから、晃一は仕事を人に任せて、もう一度別荘へ戻って来た。暫く静かに休養したかったし、また一つには幸子が最後の日迄起き伏しをしていた部屋で、遺品の品々の間に、愛しい妻の面輪をいつくしみ度い心からでもあったろう。

旻はそれ以来すっかり衰弱してしまって、もういくばくも持ちそうにもなかった。併しそうなっても気持だけは割合に冴えていた。

或る雨降りの、急に冬がやって来たかのように冴え々々とする晩のことであった。

晃一は弟とならんで床に入ったが、荒模様になった潮鳴りが耳について、却々眠られなかった。枕元のスタンドランプには、幸子が編んだ南京玉のついたレースの覆いがかけてあった。

――兄さん。」

眠っていると思った旻が突然呼びかけた。

――何だね、氷か?」

――いいいや、……兄さん、兄さんは、幸子さんが本当に誤って落ちて死んだものと信じていますか?」

――どうして? だって、それ以外に考えようがないじゃないか。」

――ところが、実際はそうではないのだ。」

――彼女には自殺する程の不満はなかった筈だ。