Clásicos japoneses con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lee キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.277 caracteres · 21 pantallas
「たんと喰べろ。……あわてずと、ゆっくり喰べえよ」
ところで、槽の中にはたんと喰べるほどの秣ははいっていない。間もなく槽の底が見え出す。
馬は脅腹のところをピクピクさせながら、眼のところまで槽の中へ突っこんで、ぐるりについている秣のきれっぱしを舐めとろうとするが、馬の唇ではそれをつまみとることができない。
すると、老人は、
「おお、よしよし」
と、いいながら、秣の屑を丹念にかきあつめ、それを掌にのせて馬の鼻先へさしだしてやる。馬は、長い舌でデレリと舐めとると、満足したというふうに、眼を細くして、鼻面で老人の肩へしなだれかかる。
老人は、平手でやさしく馬の首をたたく。
「おお、すんだか、すんだか。……せめて、もう四半桶もほしかろうも、がまんせい」
そして、馬車の上の苗木のほうを顎で差して、
「あれが、一本でも売れたら、胡蘿蔔を三銭買ってやるけに、たのしみにして待っていろよ」
いつの日も、判でおしたように、これをくりかえす。これほど胸をうたれる光景はなかった。
老人は、馬車の側板の折り釘に引っかけておいた小さな包みをはずすと、
「では、おれは、午食をつかってくるけに、しばらくここで待っていろ、いいか」