Clásicos japoneses con furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lee スウィス日記 (スウィスにっき) de 辻村 伊助 (つじむらいすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 216.275 caracteres · 410 pantallas
粉雪の中に日は暮れて、風に乱れて、窓に散るさらさら雪は、静かな、しかし何となく頼りの無い感じを、旅人の胸に運んで来る。そして暮れると間もなく、マッギを溶かし込んだスープ鍋を囲んで、佗しい晩餐は、荒木の食卓の上に開かれた、スープの外の食べ物は、昼も夜も変りはない、しかしその味は、いつも変りない食慾を与えた。どうせ此の雪では、明日は晴れたにしても登山は危険だから、小屋にもう一日滞在と腹を据えて、食後は、珈琲にコンニャックを入れて、煙草をふかしながら話し込む。室は暖かいが、外の寒さは非常である、ほかに御客はなし、私達三人は、婦人室の両側を占領し、ガイド達は二階の寝室に泊った。
蝋燭を消して、いざ寝ようとすると、例の癖だが、眼が冴えて寝つかれない。窓にさらさら雪は絶えず吹きつけて、一夜の中に此の小屋が、このままクレヴァースに沈んだように、埋りはしないかなんて、下らない心配が、頭の奥にきらめいて来る、と、クレヴァースの緑色にすき透った、物凄い有様や、その氷の壁が一時に崩れ落ちて、吹雪のように巻き上るアイスアヴァランシュやら、今迄見たり聞いたりした、山登りに伴ういろいろの危険が、渦を巻いて頭の中に湧き上った。