Clásicos japoneses con furigana
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ドナウげんりゅうこう
ドナウ源流行
斎藤 茂吉
Lee ドナウ源流行 (ドナウげんりゅうこう) de 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.565 caracteres · 44 pantallas
そして僕のような旅人は中に這入れない。為方がないから僕は其処を去って下手の方へ下りて行った。そこに古代の石門がある。時代を食って物寂びしているが、そこを僕はくぐって行った。すると直ぐドナウの岸に出た。岸のところに石で畳んだ散歩道が出来ていて、恰も石の廻廊のようになっている。両側の石壁も可なりの厚みがあるから、童子等はその上をも歩いている。穉児などは散歩道からその石壁に両手でつかまって、背延びをして、辛うじてドナウの水を見ている。その散歩道を大勢の人が往反している。なかには石壁に腰かけて話しているものもいる。そこを歩きながら石壁の向うの家の人と大ごえで話したりする。石壁の向うの家々は皆古く、壁に古風な絵模様を画いたのなどが残っている。その人通りのなかを僕は歩き抜けたが、誰も余り顧ない。民顕のように、Japs! などというこえは一つも聞こえない。僕は静かにそこを通り抜け、古い砦の残っているのを右手に見ながら、汀の方へ下りて行った。
ドナウの水は此処は可なり急流になっている。汀に立って岸の草を浸すところを見ていると、ドナウも平凡で、直ぐ対岸に渡れそうでもある。