Clásicos japoneses con furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lee パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 78.920 caracteres · 153 pantallas
七
七
昨夜まで人見廣介であった男は、それから一日、乗替駅の大船の安宿で暮して、その翌日の午後、丁度夜に入ってT市に着く汽車を選んで、やっぱり変装のまま、三等車の客となりました。諸君は已に御気づきでありましょうが、彼がこうして貴重な一日を、為すこともなく過したのは、彼の自殺のお芝居が、うまく目的を果したかどうかを、知ろうとして、それの載る新聞の出るのを待ち合わせる為でありました。そして、彼が愈々T市へ乗込む以上は、その新聞記事が、思う壺にはまって、彼の自殺を報道していたことは申すまでもないのです。
「小説家の自殺」という様な標題で、(彼も死んだお蔭で他人から小説家と呼んで貰うことが出来ました)小さくではありましたが、どの新聞にも彼の自殺の記事がのっていました。比較的詳しく報道した新聞には、遺された行李の中に一冊の雑記帳があって、それに人見廣介という署名もあり、世をはかなむ辞世の文句が記されていたのと、恐らく飛び込む時に引かかったのであろう、舷の釘に彼の衣類と覚しき絣の切れ端が、残されていたのとで、死人の身柄なり自殺の動機なりが分明した由記されてありました。