Clásicos japoneses con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lee ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 129.411 caracteres · 263 pantallas
隣の若者は、調子に乗って、あるいは強いて調子をつけるために、大げさに首を振りながら、時々甲高い調子をあげた。その時発田のシロホンの調子が、急に早くなったと思うと、金属片の全部をかき廻すような音を立てて、その音楽は突然止んだ。
発田は首を隣に廻して、その若者に何か早口で言うらしかった。その言葉は彼のところまで届いてこなかった。なにかなじるような調子が、その口つきや姿勢にはっきり出ていた。発田の小さい四角な眼は突き刺すように若者にむけられていた。若者はそれに何か言い返す風であった。その言葉も彼のところに届かなかった。
(おれがいるから、おれが眺めているから――)
金を卓上に置き、物憂く立ち上りながら、彼はかんがえた。
(だから発田は惨めになり、惨めになったことを怒っているのだろう)
発田は中腰になって、すこし身体を乗り出すようにしながら、隣の若者に何か言っていた。声の切れはしから見ると、それは強くなじっている調子であった。自分が叩いている音楽に、無断で合せて犬を踊らせるのは、怪しからんじゃないか、と発田はなじっているのらしかった。発田の声は、その険悪な顔に似ず、時々かなしそうにかすれた。