Clásicos japoneses con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lee ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 129.411 caracteres · 263 pantallas
「大丈夫だよ。人間の眼なんて、そんなにかんたんに失明するもんじゃない」
眼薬をさして貰って帰ろうとすると、老医はぼくを呼びとめて、ついでにタダで健康診断をしてやると言う。老先生もよほど退屈していたんでしょうな。平素のぼくなら、この種のオセッカイはお断り申し上げるのですが、その時はつい応じる気になった。タダということの魅力も若干はあったようです。診察の結果、血圧は異常なし、肝臓が少々肥大しているとのことで、
「あまり酒タバコは過さない方がいいよ」
その日はそれで帰り、半月ほど経って画室でひとり酒を飲んでいたら、妙に顔が熱っぽくなり、へんだなと思っていたら、心臓がゴトンゴトンと早鐘のように打ち始めました。母屋の人に頼んで、赤木医院に電話をかけ、その間ぼくはベッドに横になって、はあはあとあえいでいました。やがて赤木医師は大きな鞄を提げてあらわれました。
「大丈夫だ。心悸亢進で死んだ例は一つもない」
かんたんな診察の後、そう言って、何か注射をして呉れました。亢進がおさまるまで、老先生は画室の中を歩き廻ったり、描きかけの画を眺めたり、そして不審そうな声で言いました。