Clásicos japoneses con furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lee ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) de 永井 隆 (ながいたかし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 107.351 caracteres · 213 pantallas
澄みきった頭から、糸巻の糸を繰り出すように、文章が流れでる。
書き上げた草稿が一枚一枚積み重ねられて、しだいに高くなってゆく。それをまくらもとにおいて見ながら、いったいこの草稿の原動力はカフェインなのだろうか、老船長の友愛なのだろうか、と考える。
私は老船長の手紙を時々出して読みかえす。そして私の過去をふりかえってみて冷や汗の出る思いをする。私だって貧しい人や困った人に物を与えたことがある。けれどもそのときの私の意向は慈善であった。憐みを施すという態度であった。私が物を持ち、彼が物を持たぬからくれてやる、私に能力があり、彼はその力の無いために困っているから助けてやる──つまり私が一段上位にいて、彼を下に見つつ物を与え、知恵を貸してやったのだった。この慈善業のかげには高慢心がひそんでいた。より小さき者に向かうことによって、私の大いさをみずから認め、ふふんとひそかに笑っていたのである。与うる者は受くる者より幸福だと言われている。その幸福というのが私の場合では、自分の優れたところを実証しての、自己満足にほかならなかったのであった。
──与うる者の幸福とはそんなものではない。