Clásicos japoneses con furigana
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ふしぎなとり
不思議な鳥
小川 未明
Lee 不思議な鳥 (ふしぎなとり) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 7797 caracteres · 16 pantallas
二
暫らくすると人足が杜絶えて四境が静かになったかと思うと、直ぐ戸に近く草鞋の音がして、歌をうたって行く。
「此処と出雲崎とは…… 竿させば届く――竿をね……。」
老人はこの歌を聞いて、この人は浜へ帰るのだと思った。――こう考えていると、又自分が若い時分、春の海を見ながら、赤い崖の下を通った時の記憶などを呼び起した。
振向いて婆さんを見ると、微かに寝息の音が聞かれた……。
二
最初この小鳥の色は黒かった。ちょうど雀のような形でそれよりも黒かった。この小鳥を見た人は、誰でも、
「黒い鳥。」といった。
この黒い鳥を私が貰ったのは、寒い冬の日であった。しかも吹雪の募った頃である。山に居る何の鳥も餌が失なって、里にいる雀ですら、軒下の標縄に止って凍えかかっていた。家の裡にいては暗く、反古紙で張った高窓に雪や霰の当る音がした。その毎に高窓を見上げていると、一日こうやって怠屈に送るのが物憂かった。何かして遊びたいと思ったが、誰も訪ねて来るものがない。時計が三時を打った。
「ああ、もう直日が暮れるのか……。」
私は黒い柱に懸った、古風の大きな八角時計を見上げた。縁の金色が、僅かに鈍い灰色の空気に光って、眤と眸を移さずに白い円盤を見詰ていると、長い針は遅々と動いて、五分過ぎた。