Clásicos japoneses con furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lee 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) de 牧 逸馬 (まきいつま) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 251.305 caracteres · 498 pantallas
「あら、何のこと?」
「あの夢さ。忘れられないんだよ。実際恐しい夢だったからな。夢――というより、まるで現実だった。背景の細かいところまで、はっきり覚えている」
細君は、珈琲の上から笑って、相手になるまいとした。
「莫迦ばかしいわ。夢のことなんか、そんなに何時までも考えてるもんじゃなくってよ」
「しかし」ロスリッジは神経的に、「少女の殺される現場をまざまざと見たんだよ」
「そんなこと仰言ってらしったわね。そして、殺したのは、あたし達の識ってる人だとか――」
「うん。そうなんだ。知っている許りじゃなく、先輩で尊敬している人なんだ」
鳥渡真剣な色が、ロスリッジ夫人の顔を走り過ぎた。
「だから、だあれ?――と訊いても、おっしゃらないんでしょう? 嫌よあたし、そんな当て物みたいなこと」
ロスリッジが黙って俯向いて、焼麺麭の片を弄んでいるので、細君は半ば冗談に、だが、何となくきっとした声で、
「誰なの?」
「言って終おう」良人は顔を上げた。「いったほうがいい――僕らの教会の人なんだよ」
「教会の――? 何いってるのよ。教会にそんな人が居るもんですか」
「お前こそ何を言ってるんだ。