Clásicos japoneses con furigana
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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
Lee 中谷宇吉郎集 第二巻 (『せっかずせつ』のけんきゅう) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 83.098 caracteres · 172 pantallas
中学の頃夏休みになると、よくこういう入江に近い漁村の一間を借りて、数人の友達と日本海の夏を送ったものである。この頃のように入学試験の準備などに追われる心配もなく、毎日のように朝飯をすますと、もう直ぐに魚刺と水眼鏡とを持って海へ出かけて行くことに決っていた。松林を過ぎると、真白な砂浜が朝の強い日光を受けて目ばゆいばかりに映えていて、その向うに、海が文字通りに紺碧に輝いて見えるのである。夏の日本海の朝の色位美しい海の色はその後見たことがない。油絵具のウルトラマリンを生のままで力強く塗ったような濃い色彩である。もっとも色の濃さからいえば、印度洋の航海の間には随分濃い海の色も見たはずであるが、真白な砂丘の向うに見える真夏の日本海の色のような印象は残っていない。
もっとも午後になると、この色はすっかりあせてしまうのであって、今から考えて見ると、どうもあの夏の日本海の朝の色を支配する一番大切な要素は、太陽の位置ではないかという気がする。もっとも海の色をきめる要素は沢山あって、海水の中に含まれている微粒の塵ようのものに支配されることが多いのであるが、朝凪のあとまだ海が比較的澄んでいる時に、丁度太陽を背にして眺められるということが、朝の日本海の色をますます鮮かにするのであろう。