Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lee 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 48.344 caracteres · 96 pantallas
三
女中が電話だといいに来たので、出てみると伊作からだった。
「なんなの、ひとをこんなに待たせて」
「用事が重なってすぐぬけられそうもないんだ。代人をやるから、待たずにはじめてくれよ。ゆっくりやっていてくれれば、終わるくらいには行く。じゃ」
「ちょっと待ってちょうだいよ。代人ってなんなの。あまりへんなひとよこさないでちょうだい」
「君も知っているだろう。S銀行のボストンの支店長をしていた幹さん」
「ええ、知ってるわ。利吉雄さん」
「あのひとのお嬢さんの杜松子さんと巴里でおなじキャンプにいたんだが、横浜で焼けた幹さんの疎開先がわからないというから、そのあいだしばらくうちでお世話してあげたいと思って」
「あなたにしては神妙な話ね。ええ、よくわかったわ」
「杜松子さん、十分ほどしたらそちらへ行くから」
三
杜松子という娘の顔を滋子はあっけにとられてながめながら、生れてからまだこんな美しい膚の色もこんな完全な横顔も見たことがなかったと思った。栗梅の紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草の綴錦の帯をすこし高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色縮緬の一の紋で、振りから大きな雪輪の赤い裏がみえた。