Clásicos japoneses con furigana
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ちちをさす
乳を刺す
邦枝 完二
Lee 乳を刺す (ちちをさす) de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.474 caracteres · 35 pantallas
「じゃァ旦那。あっしはこれから、裏庭を一と回りするから、まだだれも外へ出ちゃァならねえが、仏様のことにでも、取り掛かンねえ。それから、おみねといったな、その女中は。お前さんに案内してもらおう」
「いえ、わたしが……」
お春が素速く立ち上がろうとするのを、伝七はさり気なく留めた。
「なアに、おみねの方がいい。台所や裏口なんてものア、女中の方が明るいもんだ。おい竹」
「へい」
「おめえは……」
伝七のささやく声に、大きくうなずいた獅子っ鼻の竹は、ぱッと表へ飛び出して行った。
おみねを先へ立てて、裏庭へ出た伝七は、ゆっくり隅々まで眼を通したが、裏木戸の傍の庭石へ腰をおろすと、自分の前に転がっている材木の一端へ、おみねを掛けさせた。
「おめえの話を、聴こうじゃねえか。常吉が縄を掛けられた時の、おめえの顔は、ただじゃなかった。何かあるだろうから、話してみねえ」
「はい……」
おみねの張りのある眼には、急に涙が浮かんだ。
「親分さん。つ、常どんは、お嬢さんを殺したんじゃアありません」
「どうしてお前に、それが判るんだ?」
「さっき、お春お嬢さんが、廊下を歩いていたと仰しゃいましたが、常どんはあの時まで、女中部屋にいたのでございます」