Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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にとうしゃにのるおとこ

二等車に乗る男

豊島 与志雄

Lee 二等車に乗る男 (にとうしゃにのるおとこ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 6342 caracteres · 13 pantallas

Aozora Bunko

そしていつまでもいつまでもぐるぐる歩き廻っている。……。

それがだんだん私の気にかかって来て、私は夜もよく眠れないようになった。そしていつしか神経衰弱になりかかった。気分が始終苛立って、そのくせ、すぐに涙が出たり大声に笑いたくなったりする。

そして或る夜、私はもう我慢が出来なくなって、父の書斎からピストルを盗み出してきた。縁側の雨戸を開いて見ると、やはり向うの窓の中に、あの人がぐるぐる歩き廻っている。私はそれに向ってピストルを狙った。が……引金が引けない。なぜだろう……なぜだろう……。

私はピストルを放り出して、其処に泣き伏してしまった。

……小説というのは、それだけの筋でした。勿論、私が今お話したのよりは、もっと下手なたどたどしい筆付でしたが、それでも、私はそれを読んでぎくりとしたのです。小説の中に書かれてる青年は、私自身じゃありませんか。

その頃は、私は友人達が山や海へ避暑に出かけた中を、一人東京に残って、或る長篇を書いていました。朝遅くまで寝ていて、午後は友人もいないので大抵昼寝をして、夕方散歩に出て、夜遅く仕事をしていたのです。ところが、素人下宿の二階に住ってるものですから、夜更けに外へ出ることは遠慮されて、筆が渋ってくると、いつも室の中を歩き廻ったものです。