Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
きょうらくじん
享楽人
和辻 哲郎
Lee 享楽人 (きょうらくじん) de 和辻 哲郎 (わつじてつろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4551 caracteres · 10 pantallas
五、六年前のことと記憶する。ある夜自分は木下杢太郎と、東京停車場のそのころ開かれてまだ間のない待合室で、深い腰掛けに身を埋めて永い間論じ合った。何を論じたかは忘れたが、熱心に論じ合った。二人の意見がなかなか近寄って来なかった。そこを出て大手町から小川町の方へ歩いて行く間も、なお論じ続けた。日ごろになく木下が興奮しているように思えた。小川町の交叉点で――たしかそこで別れたように思うが――木下は腹立たしい心持ちを言葉に響かせてこう言った。
――結局僕が Genu※(ドイツ語エスツェット)mensch で、君がそうでない、ということに帰着するんだな。
この Genu※(ドイツ語エスツェット)mensch(それを試みに享楽人と訳した)という言葉を、木下は誇らしく発音した。そうでないと言われるのが自分には不満に感じられたほどに。でその時はこういう結論で物別れになったのが、気持ちよくなかった。しかしこの言葉が自分の頭に残って、幾度か反復せられている間に、だんだんそれが木下と離し難いものとなり、木下の特性を示すもののように思われて来た。今度彼の『地下一尺集』