Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しぐれがさ

人情武士道

山本 周五郎

Lee 人情武士道 (しぐれがさ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 24.700 caracteres · 51 pantallas

Aozora Bunko

工事は殆ど終ったので、市郎兵衛はもう別墅を引払って来ていたのである。……至と聞いて幸枝がいそいそと出迎えた。

「お父上に申上げて下さい、お話があって参上仕りました、是非お会い下さいと」

「はい、暫くどうぞ」

「ああ、あの話」行こうとするのを呼止めて、「……次郎太の話は御存じですか」

「はい、昨日、内田さまから」

光を湛えた眸子にいっぱいの感情を籠めながら、幸枝は至の眼を見上げた。

「そうですか、それで重荷が下りました、それさえわかっていればあとは楽です、おとついの、あの川端の返辞をしますよ」

「まあ……」ぱちぱちと眼が大きくまたたいた。

「どうぞ取次いで下さい」

幸枝は頬を染めながらいちど去って、すぐ案内に戻って来た。……市郎兵衛は居間で、正面を切って、これ以上むずかしい顔はないという渋面をつくっていたが、至が会釈しながら坐ると、直ぐに、「用件を聞こう、多用じゃで手短かに」と吐き出すように云った。

「御多用でなくとも」至も切り口上だった「……申上げることは簡単です、色々ないくたてはありますが、そんなことはいま更いう必要はないと思います、幸枝どのを拙者の妻に申し受けます」