Clásicos japoneses con furigana
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じんせいろんノート
人生論ノート
三木 清
Lee 人生論ノート (じんせいろんノート) de 三木 清 (みききよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.023 caracteres · 143 pantallas
彼が直立して歩行するようになったということは、彼の名誉心の最初の、最大の行為であった。
直立することによって人間は抽象的な存在になった。そのとき彼には手というもの、このあらゆる器官のうち最も抽象的な器官が出来た、それは同時に彼にとって抽象的な思考が可能になったことである、等々、――そして名誉心というのはすべて抽象的なものに対する情熱である。
抽象的なものに対する情熱をもっているかどうかが名誉心にとって基準である。かくして世の中において名誉心から出たもののようにいわれていることも実は虚栄心にもとづくものが如何に多いであろう。
抽象的な存在になった人間はもはや環境と直接に融合して生きることができず、むしろ環境に対立し、これと戦うことによって生きねばならぬ。――名誉心というのはあらゆる意味における戦士のこころである。騎士道とか武士道とかにおいて名誉心が根本的な徳と考えられたのもこれに関聯している。
たとえば、名を惜しむという。名というのは抽象的なものである。もしそれが抽象的なものでないなら、そこに名誉心はなく、虚栄心があるだけである。いま世間の評判というものはアノニムなものである。