Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ものをこわすのがしょうばいじけん

什器破壊業事件

海野 十三

Lee 什器破壊業事件 (ものをこわすのがしょうばいじけん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.352 caracteres · 31 pantallas

Aozora Bunko

きょうは僕一人なんです」

「でも、さっきあの衝立の向うから……」

「あっはっはっ、あの声ですか。あれは所員がいて、声を出したわけではなく、録音の発声器なんです。自動式に、訪問客に対して挨拶をする器械なんですよ。嘘だと思ったら、こっちへ来て衝立の蔭をごらんなさい」

「そんなこと、嘘ですわ」と光枝はいったが、衝立の後を見ないではいられなかった。帆村が後にさったのを幸いに、素早くそこを覗いてみて、あっと愕いた。なるほど、衝立の後には、誰もいない。小さな卓子のうえに、なるほど録音の発声器らしいものが載っているだけだ。その附近には、人間の出ていく扉もなければ、人間の身体が隠れる物蔭もない。するとやっぱり帆村のいったとおりなのである。

また新たなその大きな愕きと、そしていよいよこの部屋の中に、自分は帆村と二人きりなんだと思うと、俄にぞくぞくとしてくる或る危険に対する戦慄! 光枝は、とんでもないところへ来たものだと、胸がどきどきだ。はじめから安心しきって来ただけに、彼女はこの不意打に狼狽するしかなかった。あの入口には、きっともう、扉をしめるとがちゃんと閉る自動錠がかかっているのであろう。