Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

びぜんめいきゅうでん

備前名弓伝

山本 周五郎

Lee 備前名弓伝 (びぜんめいきゅうでん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 24.649 caracteres · 50 pantallas

Aozora Bunko

ではもう一人使をやれと、命じているところへようやくさきの使番が戻ってきた。すぐ登城するというので光政はほっと息をついた。

「ではどうやら馬場の埃もしずまったようだから、四番を射させて御覧に入れましょうかな」と、いかにもそれまで休憩していたような口吻である。馬場の埃といったって、さっきの埃は、もう十里も先へ飛んでいる頃だ。誰か呼びにやっているということは光晟も察していたが、礼儀だからそ知らぬ顔で、

「さよう、では御自慢の弓勢を拝見いたそう」と坐り直した。

やがて待ち兼ねていた太鼓が鼕々と鳴り響く、馬上手綱を絞って三之丞が出てきた。馬場を半分廻って桟敷の正面へ拝礼して裃の肩衣をはねると、しずかに馬首をかえしたが、そのとき安芸守がふと光政に振返った。

「あの者は命矢を持っておらぬようじゃな」「……いかにも」そう云われて光政も気がついた、三之丞は弓に則えて一筋の矢を持っているだけである、矢壺は空で命矢という二の矢がない。忘れたのか、と思うと気が気ではなかった。三之丞は気づいているのかいないのか、馬にだくを踏ませて結び矢来へ近づいたが、いきなり、

「え――い!」

と裂帛の気合をかけた。