Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
はつつぼみ
初蕾
山本 周五郎
Lee 初蕾 (はつつぼみ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.525 caracteres · 35 pantallas
「どうせ泣くように生れついたんだ」
お民は客を送りだして、あと片付けに戻ったまま、小窓に倚って、自嘲するようにこう呟いた。
「花がさかりまでのものなら、散るまで好きなように生きるだけさ、初めからそういう積りなんだもの、どうなったって悔むことなんかありゃあしない」
「どうせ泣くように」
すてばちに似たその言葉は、決して出まかせのものではない。最も幼ない頃、記憶の初めともいえるものが既に悲しい泣声に濡れている。それは大きくて広い家の土間だった、ひと抱えもありそうな柱や、鼈甲色に光る框や、重そうな杉戸が、うす暗い淀んだ空気のなかに、恐ろしいほどがっちりと威圧的に見えた。兄の太市は手をひかれ、お民は母に背負われていた、母は上り框のところに手をついて、なにか頼みながら頻りにおじぎをする。向うの帳場格子の中には人が三人ほどいたが、算盤をはじいたり帳面を繰ったりするだけで、誰もこっちの相手にはなって呉れない。母は歌うような調子でなにか云っては、いつまでもおじぎをし続けた、そしてしまいには五つになる太市にまでおじぎをさせ、いっしょに頼みを云わせた。
……そこが鳥羽港の「山越」