Clásicos japoneses con furigana
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はつがえる
初蛙
薄田 泣菫
Lee 初蛙 (はつがえる) de 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3470 caracteres · 7 pantallas
一
古沼の水もぬるみ、蛙もそろそろ鳴き出す頃となりました。月がおぽろに、燻し銀のように沈んだ春の真夜なか時、静かな若葉の木かげに立ちながら、あてもなくじっと傾ける耳に伝わる仄かなおとずれ――
「くる……くる……くる……」
と、古沼の底から生れた水の泡が、円く沼の面に浮びあがったと思うと、そのまま爆ぜ割れるような、それによく似た物の音を聞きますと、
「ああ、もう初蛙が鳴いている……」
と、誰でもがすぐに気付こうというものです。
私はあの初蛙の鳴き声が好きです。寒い冬の間のながい夢からさめて、これから思う存分軽噪ごうというその前に、あっちでも、こっちでも、さも四辺の立聞をでも気づかうように、そっと内証で声試しをしているあの音を聞きますと、ちょうど土塊をおし分けて、むっくり頭をもち上げた早蕨か菌かを見るような、無邪気と悪戯っ気とが味わわれます。それは小っぽけな、知恵と元気とに充ちた地の精霊の無邪気と悪戯っ気とです。博識なイソップや、人の悪いアリストファネスが見ていようと、怠け者の小野道風が立っていようと、貧乏詩人の芭蕉庵の主人が聞いていようと、そんな事には少しの頓着もなく、素っ裸の濡れ身のままで柳の枝でぶらんこをしたり、背から腹にかけて砂まみれになったまま、飜斗うって古池に飛び込んだりするのは、この無邪気