Clásicos japoneses con furigana
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ぜんきてんまやけ
前記天満焼
国枝 史郎
Lee 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 48.568 caracteres · 98 pantallas
すると家陰から数人の人影が、タラタラと一勢に現われたが、旅侍を取り巻くや、四方からドッと切り込んだ。
「うむ、出たか! 待っていたようなものだ」
嘯くように云ったかと思うと、抜打ちに一人を切り斃し、
「すなわち人殺受負業! アッハッハッハッ、一人切ったぞ」
その時、
「引け」という声がした。……途端に刺客の人影は、八方に別れて散ってしまった。
「おかしいなあ」と佇んだまま、旅侍は呟いたが、
「はてな?」ともう一度呟いた。
というのは行手、眼の先へ、加賀屋と記された提燈が、幾個か現われたからである。
「宇和島様でございましょうな。加賀屋からのお迎えでございます」
手代風の一人が進み寄ったが、こう旅侍へ声をかけ、さも丁寧に腰をかがめた。
ところがこれも同じ晩に、もう一つ奇怪な出来事が起こった。
一人の立派な老人が、それは加賀屋源右衛門であるが、手燭をかかげて土蔵の中を、神経質に見廻していた。土蔵の中に積まれてあるのは、金鋲を打った千両箱で、それも十や二十ではない。渦高いまでに積まれてある。その一つの前へ来た時である。
「あッ」と老人は声を上げた。
と、その声が呼んだかのように、土蔵の口へ現われたのは、顔に醜い薄痘痕のある、蔵番らしい男であったが、手に匕首を握っている。