Clásicos japoneses con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lee 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 243.807 caracteres · 482 pantallas
したが、お延と小六の間に、べッとりなすられた気まずい空気は、容易にさらりとしそうもない。
ピチリと、苦しそうに盃の口を鳴らした小六は、やや冷かすような口吻で、女に顔を向けた。
「どうした? だいぶ根よく鬱ぐじゃないか」
「当りまえさ」
お延はそれをきッかけに、一層不平な色を、ありありと、男の眼へ見せつけた。
年増の恋の、熱と手練をくだいて、連れだした新九郎を、むざと、この男に引き裂かれて、もう自分では、鼻についている悪縁の縒へ、再び綯い込まれてしまった運命の不服と、もう一つはかなり纏まった路銀を、山から逃げてくる途中で落してしまった災難――この二つは、みんな小六のせいの如く考えられて、お延の現在を無性に焦立たせているのであった。
「当り前? ……また不貞くさっていやがるな」
「だってそうじゃないか、考えてもご覧なさいよ。江戸へ行くまでには、まだ何百里っていう道のりだよ、大津くんだりで、鐚銭もなくなっちゃッてどうするのさ」
「どうにかなるよ。世の中はそんな融通の利かねえものじゃない。愚痴を云ったって始まるもんか」
「七日とたまった宿銭だって、払う工夫のつきた今だよ。