Clásicos japoneses con furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lee 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.262 caracteres · 243 pantallas
「冗談じゃない」
「君」
と僕は声を潜めた。
「分ったよ」
「気をつけてくれ。豊子さんの話が出ると、妻は機嫌を悪くする」
「ついウッカリしていて失敬した。ところで妻は本当に来るのかい?」
「然うらしいね」
「僕の方は幼少のことよりも最近のことが危い」
「仇討をしてやる」
「冗談じゃないぜ。それでなくても、妻は君に訊きたがる」
「何を?」
「金子さんに訊いて見ますが、何うですかと来る」
「来たぜ/\」
「余計なことは言わないでくれ」
と菊太郎君は口を拭って見せた。そう大したことの出来る男でもないのに、己惚がある。
妻が久子夫人を案内して来た。
「自叙伝小説の御相談というお知らせが帯留の無線装置に響きましたから、手のものを差置いて参上致しました」
と久子夫人も曲者だ。
「大変なことになってしまったよ。記憶力の試験を受けている」
と菊太郎君が言った。
僕は久子夫人に軽く会釈した丈けだった。異性の綺麗なのに慇懃を尽すと、兎角後がいけない。
「幼少時代を考えて見給え」
「うむ」
「遠く遡って思い出せるほど、偉人の資格がある。これが一種のメートルだ。偉人は頭が好いから忘れない」
「一体偉人は幾つぐらいから覚えているんだろう?」