Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lee 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 127.035 caracteres · 254 pantallas

Aozora Bunko

「あの娘、別嬪でございましょうがな」

(厭な奴だな)と貝十郎は思った。で、黙って男を見詰めた。

「三保子様は別嬪でございますとも」自信がありそうに若い男は云った。「云わば花野の女王様で」

(こいつ馬鹿だ!)と貝十郎は思った。(でなかったら色情狂だ)

「それに大層もない財産家で」

(おや、こいつ、慾も深いぞ)貝十郎は降参してしまった。

(山の中へ来ると変な奴に逢うぞ)

「お武家様、あなた見ていましたね」

三

「何を?」と貝十郎は不愉快そうに訊いた。

「私と三保子様との恋三昧をでさあ」

「…………」

「旦那、邪魔をしちゃアいけませんぜ」

「貴様は誰だ!」

「鏡太郎って者だ!」

(ふうん、こいつが鏡太郎なのか)改めて貝十郎は鏡太郎を見た。

ベロッとした顔、ベロッとした姿、――そういう形容詞が許されるなら、鏡太郎はそういう顔と姿の、持ち主と云わなければならなかった。つまり甞めたような人間なのであった。甞めたように額がテカテカしており、甞めたように頤がテカテカしていた。衣裳などでもテカテカ光っていた。都会の軟派の不良青年――と云ったような仁態であった。しかし太々しい根性は、部厚の頬や三白眼の眼に争い難く現われていた。