Clásicos japoneses con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lee 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 81.668 caracteres · 164 pantallas
青く澄んだ川の水は油のように流れていても、その瀬の激しいことと言ったら、眩暈がする位だ。川上の方を見ると、暗い岩蔭から白波を揚げて流れて来る。川下の方は又、矢のように早い。それが五里淵の赤い崖に突き当って、非常な勢で落ちて行く。どうして、この水瀬が是処の岩から向うの崖下まで真直に突切れるものではない。それに澄んだ水の中には、大きな岩の隠れたのがある。下手をマゴつけば押流されて了う。だから余程上の方からでも泳いで行かなければ、目的とする岩に取付いて上ることが出来ない。
平野を流れる利根などと違い、この川の中心は岸のどちらかに激しく傾いている。私達は、この河底の露れた方に居て、溝萩の花などの咲いた岩の蔭で、二時間ばかりを過した。熱い砂の上には這いのめって、甲羅を乾しているものもあった。ザンブと水の中へ飛込むものもあった。このあたりへは小娘まで遊びに来て、腕まくりをしたり、尻を端折ったりして、足を水に浸しながら余念なく遊び廻っていた。
三つの麦藁帽子が石の間にあらわれた。師範校の連中だ。
「ちったア釣れましたかネ」と私が聞いた。
「ええ、すっかり釣られて了いました」