Clásicos japoneses con furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lee 南地心中 (なんちしんじゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 39.205 caracteres · 79 pantallas
一
「今のは、」
初阪ものの赤毛布、という処を、十月の半ば過ぎ、小春凪で、ちと逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞も隠されず、頬被りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、筑波、はじめて、出立つを初山と称うるに傚って、大阪の地へ初見参という意味である。
その男が、天満橋を北へ渡越した処で、同伴のものに聞いた。
「今のは?」
「大阪城でございますさ。」
と片頬笑みでわざと云う。結城の藍微塵の一枚着、唐桟柄の袷羽織、茶献上博多の帯をぐいと緊め、白柔皮の緒の雪駄穿で、髪をすっきりと刈った、気の利いた若いもの、風俗は一目で知れる……俳優部屋の男衆で、初阪ものには不似合な伝法。
「まさか、天満の橋の上から、淀川を控えて、城を見て――当人寝が足りない処へ、こう照つけられて、道頓堀から千日前、この辺の沸くり返る町の中を見物だから、茫となって、夢を見たようだけれど、それだって、大阪に居る事は確に承知の上です――言わなくっても大阪城だけは分ろうじゃないか。」
「御道理で、ふふふ、」
男衆はまた笑いながら、