Clásicos japoneses con furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lee 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.251 caracteres · 94 pantallas
上京の当時、八郎は舞台近所の或外国語学家の玄関に書生をしていた。祖父、伯叔父、一統いずれも故人だが、揃って能楽師だった母方のその血をうけて、能が好きだから、間を見ては舞台を覗く。馴染になって、元老の娘が、五つばかり年紀上だが優しい婦で、可愛い小僧だから、つい親んで、一日、能会の日、中食の弁当を御馳走して、お茶を入れて二人で食べていた。――処へ、装束を袴に直して、扇子を片手に、渋い顔をして入って来た、六十七の老人である。「うまく遣ってるな、坊主、能はどうだ。」と言った。大切な蒲鉾を頬張りながら、「何だか知らないが、小父さんは化けるね。」「何。」「だって、舞台じゃあ、その色の黒い皺くちゃな手首の処が綺麗で真白だったよ。」天女の扇を持った手である。元老は当日羽衣を勤めた。「そして、(富士の高嶺幽になり、天つ御空の霞にまぎれ、)という処じゃ、小父さんの身体が、橋がかりの松の上へすっと上ったよ。」「生意気な事を言やがる。」お婆さんの御新姐が持って来た冷酒を、硝子盃で、かわりをして、三杯ぐっと飲んだが、しばらく差俯向いて、ニコリとなって、胡坐を直して、トンと袴をたたくと、思出したように、衝と住居から楽屋へ帰った。