Clásicos japoneses con furigana
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Lee 古き小画 (ふるきミニエチュア) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 70.298 caracteres · 140 pantallas
燃える炎のような眼でじっとそれを見ていたルスタムは、準備が整うと、
「もうよろしい。用があったら呼ぶから彼方に行っていろ」
侍僕が胸に手を当て、引きさがりかけると、ルスタムは、更に呼びかけた。
「今夜は誰にも会わぬから人は入れるな」
ルスタムは、酒瓶に手をかけた。小さい燈の下で、酒はごくり、ごくり、豊かな音を立てて、脚高な盃につがれた。芳ばしい、神経を引立てる香が四辺に散った。ルスタムは、右手に盃を持ち、左手で白髪を胸に押しつけながら、盃に唇をつけようとした。が、彼は、何とも知れず喉元にこみあげて来る悲しみを感じ、ごくりと喉をならして、盃をおろした。
人気ない卓の上で、酒はいよいよ愛らしい琥珀色に輝いた。それを看ているうちに、ルスタムの眼では、燈の色も、盃の形も次第にぼやけ歪んで来た。彼は、鼻の奥にむずむず涙腺から流れ下るものを感じた。
ルスタムは自分を叱るように、盃を握ると、一いきに酒を煽った。空の盃を手から離さずにまた注いだ。また煽った。三盃そういう風に飲むと、彼は大きく息をつき、卓に肱をかけ、その手で頭を支えた。ルスタムは、自分の戦士としての最後が、こういう形で示されようとは思っていなかった。