Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
と田舎者はまたいい出した。
「へえ、ちょっくらおきき致しますだ」「ああ何んでもきくがいい」「お前様の位所はえ?」「おれはこれでも上目録だよ」「へえさようでごぜえますかな。千葉道場での上目録は、大したものだと聞いているだ。さっきの野郎とは少し違うな」「これこれ何んだ。口の悪い奴だ」「それじゃおいらもちっとばかり、本気にならずばなるめえよ」「一ついいところを見せてくれ」
「やっ」と銀之丞は立ち上がった。ヌッと田舎者も立ち上がり、例によって例の如く、しないを上段に振り冠ったが、姿勢が何んとなく変であった。「おや」と思って銀之丞は、相手の構えを吟味した。突然彼は、「あっ」といった。それと同時に審判席から、同じく、「あっ」という声がした。声の主は平手造酒だ。二人の驚いたのはもっともであった。千代千兵衛となのる田舎者は、足を前後へ構えずに、左右へウンと踏ん張っていた。銀之丞は考えた。
「ははあ、さてはあいつであったか。北国街道の芒原で、甚三殺しの富士甚内を、不思議な構えでおどしつけた、博徒姿の旅人があったが、ははあさてはこいつであったか。それにしてもいったい何者であろう?」