Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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るそんのつぼ

呂宋の壺

久生 十蘭

Lee 呂宋の壺 (るそんのつぼ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.375 caracteres · 36 pantallas

Aozora Bunko

墓参の帰り道、ピニャルーの市場をのぞくと、差掛の陶物屋で「蓮華王」と「清香真壺」を見つけた。手品の種明しを見るようなもので、今となっては、たいして興味はなかったが、錠銀二個を投じて壺を二つ買って帰った。

翌朝のことであった。

吉之丞が宿をとった旅亭の前の広場で、大勢の人声がするので、窓をあけてみると、何百人とも知れぬ男女が「蓮華王」か「清香真壺」を一つずつ抱え、列をつくって旅亭の木戸が開くのを待っている。ここに集った真壺の数はおびただしいもので、広場に入りきれぬ組が、つづきの横町に蜿蜒とつづいている。この騒ぎのもとはなにかというと鐚銭十文ですむところを、錠銀一個を投じたためであった。

元和元年、大阪、夏の陣をもって豊臣氏が滅亡したその五月一日、柬埔塞船でカンボチヤを発ち、二十日、安南に着いた。元和三年五月までフェイフォに滞在し、同年七月、安南を発って、同、十月九日、七年ぶりで鹿児島に帰着した。

さっそく御隠居所に上がり、真壺の上品二個、惟新公に差上げたが、真壺をおねだりになった家康公は、すでに元和二年におかくれになり、新納拙斎殿も慶長十七年に長逝し、せっかくの苦労も甲斐ないものになった。