Clásicos japoneses con furigana
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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
Lee 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 30.835 caracteres · 61 pantallas
あれがね旦那、鏡台山でございますがね、どうも暗うございまして。」
「音に聞いた。どれ、」
と立つと、ぐらぐらとなる……
「おっと。」
欄干につかまって、蝸牛という身で、背を縮めながら首を伸ばし、
「漆で塗ったようだ、ぼっと霧のかかった処は研出しだね。」
宵の明星が晃然と蒼い。
「あの山裾が、左の方へ入江のように拡がって、ほんのり奥に灯が見えるでございましょう。善光寺平でございましてね。灯のありますのは、善光寺の町なんでございますよ。」
「何里あります。」
「八里ございます。」
「ははあ。」
「真下の谷底に、ちらちらと灯が見えましょう、あそこが、八幡の町でございましてね、お月見の方は、あそこから、皆さんが支度をなすって、私どもの裏の山へお上りになりますんでございますがね。鏡台山と、ちょうどさし向いになっております――おお、冷えますこと、……唯今お火鉢を。」
「小村さん、寸法は分りました、どうなすったんです、景色も見ないで。」
と座に戻ると、小村さんは真顔で膝に手を置いて、
「いえ、その縁側に三人揃って立ったんでは、桟敷が落ちそうで危険ですから。」
「まったく、これで猿楽があると、……天狗が揺り倒しそうな処です。