Clásicos japoneses con furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lee 地上 (ちじょう) de 島田 清次郎 (しまだせいじろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 175.250 caracteres · 350 pantallas
神の国は苦痛の太極にあるのだ」
「――」
宮岡は黙した。平一郎も黙していた。沈んだ尾沢の語調がひとり響いた。静寂をはた/\とかすれるような音のするのは雪が降り出したのであろう。火鉢の炭火は燃えさかって、ぱち/\火花を散らした。静かである。静けさは十分間ばかりも続いた。誰もものを言う気になれなかった。ものを言うことがこの厳かな静けさを汚すようで恐ろしかった。階下で足駄の雪をはらう音がしたのに、三人共助かったという風に顔を見合わした。ついで階段を昇る衣ずれの音が聞えた。それ程に静かな冬の深い夜であった。
「尾沢さん、いらしって?」静子が小さな声で言ってあがって来た。彼女の前髪に白い雪片が消えかかっていた。
「静子か」
「尾沢さん」彼女はぺたり尾沢の正面に坐った。彼女は笑わなかった。
「どうかしたのかい」
「尾沢さん、わたしと結婚して下さらない?」
「突然にどうかしたのかな」
「わたし銀行を出されてしまいましたの。――あなたのせいで。お腹ではもう時々動いていますわ」
「本当かい」尾沢は訊いた。真面目だった。
「本当ですの」
「己は知らないよ」
尾沢は冷やかに裁判官が審判するように言い放った。