Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Lee 変な男 (へんなおとこ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 40.508 caracteres · 81 pantallas

Aozora Bunko

その様子が変に滑稽でまた真面目だった。澄子は思わず放笑そうとしたが、喉がぎくりとしてつかえてしまった。それからどうしていいか分らなくなった。いきなり台所へ駈け戻って、「お母さん、玄関にどなたかいらしたようよ、」と大きな声で叫び立てた。そして手を拭き拭き出て行く母の後ろから、自分もそっとついて行った。見ると、今井は袴を投り出して、素知らぬ顔でつっ立っていた。彼女はほっと安堵して、彼の方をちらと見やりながら、袴を取ってきて、丁寧にたたんで箪笥の上にのせた。

それまではまだよかったが、やがて、もうどうにも出来ないことが起った。

夕方から風がぱったりと止んだ、いやに蒸し暑い晩だった。真夜中に、澄子はふと眼を覚した。物に慴えて息苦しいような、変な心地がしたので、寝呆け眼であたりを見廻すと、古い十燭の電燈に覆いをした、影を含んでるぼやけた光が、薄すらと流れ出してる次の玄関の室に、物の動いてる気配がした。おやと思って、蚊帳越しに眸を定めてみると、薄青の地に白菊くずしの模様のあるメリンスの着物が、室の真中にぶら下っていた。そんな筈はない、と思うとたんに眼が冴えた。