Clásicos japoneses con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lee 夏の葬列 (なつのそうれつ) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 60.161 caracteres · 122 pantallas
突然、燃え上るような羞恥、逆上した、怒りに似た羞恥が彼をとらえた。そのまま、彼は下宿へと走り出した。部屋にかけこむと、畜生、畜生、と叫びながら机を拳骨でなぐりつけた。彼は、真赤な顔をしていた。
そうだ、まさにおれはよけいなことをしたのだ、と彼は歯がみしながら思った。おれは、彼女を侮辱したのだ。彼女の神聖な「愛」を侮辱したのだ。彼女は、彼女自身どうにもならぬ彼女の「愛」を忠実に生きているだけのことだ。……おれは、まるでその「愛」を、取り替えのきくもののように扱おうとした。なんという馬鹿だ、なんという無礼だ、ああ。
彼は恥じた。彼は孤独だった。でも、あの女と同様、おれもまたこのおれを引き受けねばならないのだ。――ふと、妻はいつ帰ってくるのだろう、と思った。
九時を過ぎたが、妻は帰らなかった。そして、おどろいたことに、女はまだ同じ場所にいるのだ。……便所の窓からのぞくと、ときどき、自動車のライトに照し出され、女の姿が閃光を浴びて浮き上るのが眺められた。
蒲団にもぐりこんで、彼は、もう女のことは気にするまいと思った。たとえ女が凍え、路上で餓死をしたにしても、それを見殺しにしてやることしかできないのだ。