Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lee 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 218.436 caracteres · 437 pantallas

Aozora Bunko

市十郎も、知らぬというので、あんなにニベなく断ってやったのに、夕方、帰宅して召使にきくと、押しづよく、あれからまたもやって来て、「お嬢様にも今そこでお目にかかりまして……」とか何とかいって、小間使いを通じて、とうとう市十郎の書斎に通り、何か、だいぶ話して帰ったというのである。

市十郎にきくと、市十郎は、「会わぬ」と首を振ッたきり、きょうは特に気色がよくない。――お縫はあまり物事にくよくよしない性格だが、「なぜ、私に嘘を……」と思いつめると、食後の白湯も、胸につかえた。

こんな時には、琴でもと、部屋にもどって、昼、習った曲をさらいかけたが、それも心に染まず、絃に触れると、わけもなく泣きたくなった。

窓の外にも、冬ちかい時雨雲が、月の秋の終りを、落葉の梢に傷んでいる宵だった。かの女は、燭の下に、琴を残して、庭へ降りた。

この屋敷ができない前からあったという古い池がある。茂るにまかせた秋草が水辺を蔽い、その向うに、灯が見える。――市十郎の書斎である。

かの女は、池をめぐって、知らず知らずその灯の方へ足を向けていたが、ふと、薄月夜のひろい闇いッぱいに、耳をすまして、立ちどまっていた。