Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lee 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.722 caracteres · 286 pantallas

Aozora Bunko

使う方の有難味を知っている神尾主膳にとっては、金の光と一緒でなければ、どこへも行ってみようという気にならない。

眼と鼻の先に吉原があろうとも、好きな書画骨董の売立ての引札を見ようとも、かわり狂言の番付がくばられようとも、しょげるばかりで浮き立たない。

お絹にあっては、それがいっそう輪をかけた渇望で、この女の持っているすべての虚栄心と不満足は、みな金というところへ落ちて行く。その金が廻らない。廻るべきはずもない。果してこんなところへ思うように廻って来れば、この世に苦労はない。そこで、どうしても廻らないものを、無理に廻そうとする。

あの当座こそ、二人は外へも出ないで、浮ずって暮らしていたが、このごろ、お絹は、小女をつれてちょいちょいと出歩く。どうかすると、朝出て夜おそく帰って来ることさえある。

それは廻らないものを、無理に廻そうとする算段だと知っているから、神尾もとがめ立てをするわけにはゆかない。けれども、その出て行ったあとでは、神尾もいい心持はしない。ことに夜おそく帰られたりする時には、むらむらと気が変になることもあるが、今の身ではそれもかれこれということはできない。