Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lee 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 319.771 caracteres · 617 pantallas

Aozora Bunko

床の間には掛軸があって、長押には額面がある。書架があり、経机があって、一通りの調度がととのっている。茶の間には茶道具一式があり、行燈もあり、火鉢もある。お銀様が来ても、そこへ坐りさえすれば、あとはもう召使を呼ぶだけになっている。これはあながちこの女王様を迎えんがために、調度を急いだというわけではなく、前住者がついこの間まで居抜いたものを、そっくり置き据えただけのものであります。

床の間の掛軸の、懐紙風に認められた和歌の一首――

花のいろは

うつりにけりな

いたつらに

わか身世にふる

なかめせしまに

ここにあるべくしてある文字で、かえって当然過ぎる嫌いはあるが、さりとて、侮るべき筆蹟ではない。筆札に志あるお銀様が見ても、心憎いほどの筆づかいであったのは、それは名家の筆蹟を憎むのではない、どうやらこの文字の主が、やっぱり女であると思われることから、お銀様の心を幾分いらだたしめました。

「わたしにも、このくらいに書けるか知ら」

書いた主は何人だかわからないが、女の筆のあとと見込んだばっかりに、お銀様が嫉妬心を起したのも、この人としては珍しくありません。