Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lee 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 319.771 caracteres · 617 pantallas

Aozora Bunko

その度毎に、神尾は自分を歯痒がったり、腑甲斐ないと自奮してみたりする気になるが、さて面と向うと、どうにもならないのが癪だ。

「何だい――」

と受答え、自分の声は苦りきったつもりでも、いつしか、甘ったるい、舌たるいものになっている。

癪だ。

お絹は、神尾のそんな気分を知るや知らずや、

「あのねえ、駒井能登守様――あの方、このごろ、どうしていらっしゃるでしょう、御様子をお聞きにならない?」

「うむ、駒井か」

と神尾が、こうと言われて何となく胸を圧されるように思いました。ここで突然、駒井の名を聞くことは甘ったるいことではない。忘れていた古創が不意に痛み出して来たような思いで、

「駒井能登か、知らんなあ、その後、どうしているかなあ」

「あのお方をあやまらせたのは、あなたの罪ね」

「いいや、そんなこたあないよ、駒井自身の越度だから、どうも仕方がない」

「でも、あなたがいて、あんなになさらなければ、駒井様は御無事でしたに違いないわ」

「うむ、おれのためじゃないよ、女のためだよ、駒井の奴め、あれで女にのろいもんだから、そこに隙があったんだ。隙のあったところを相手にやられたのは、相手の罪じゃない、隙をこしらえた奴の罪なんだ」