Clásicos japoneses con furigana
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こうじんぶつ
好人物
豊島 与志雄
Lee 好人物 (こうじんぶつ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.567 caracteres · 21 pantallas
一、高木恒夫の告白
人生には、おかしなことがあるものだ。三千子は僕に対して、腹を立ててるようだが、それもおかしい。僕は彼女の意に逆らったことは一度もなく、すべて彼女の言いなり次第になっているのに、彼女一人でなにか苛ら立って、僕を怒らせようと仕向け、それでも僕が一向に怒らないものだから、ますます焦れてくるといった風である。見ていると、滑稽で気の毒にもなるが、たかが女のことだ、放っておくに限る。物事を面倒くさく考えるのは、第一、僕の性に合わない。横から眺めたり、裏から眺めたりして、ほじくり返すよりも、正面から静かに眺めてる方が、よほど面白い。
三千子が僕の家に、二週間ばかり、夜の宿を借りに来たことがあった。その時も、だいたいの事情を知ってる友人間に、おかしな異議が起った。
あの女を家の中にまで引き入れるのは怪しからん、というのがその一つ。つまり、彼女は僕の妾に過ぎないという論拠なのだ。然し僕としては、彼女を妾だなどと思ったことは全くない。もっとも、彼女に金を出してやったことはある。戦争未亡人が二人共同で、二人の姓を組み合せたムラサキという小さな酒場を開いていたが、その一人の崎田が店から手を引くことになり、後に残った村上が崎田に一定の金額を支払わねばならないことになった。