Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ようそうき

妖僧記

泉 鏡花

Lee 妖僧記 (ようそうき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N1. Toca una palabra para ver el significado.

N1 · avanzado · kanji y kana modernos · 5972 caracteres · 12 pantallas

Aozora Bunko

一

加賀の国黒壁は、金沢市の郊外一里程の処にあり、魔境を以て国中に鳴る。蓋し野田山の奥、深林幽暗の地たるに因れり。

ここに摩利支天を安置し、これに冊く山伏の住える寺院を中心とせる、一落の山廓あり。戸数は三十有余にて、住民殆ど四五十なるが、いずれも俗塵を厭いて遯世したるが集りて、悠々閑日月を送るなり。

されば夜となく、昼となく、笛、太鼓、鼓などの、舞囃子の音に和して、謡の声起り、深更時ならぬに琴、琵琶など響微に、金沢の寝耳に達する事あり。

一歳初夏の頃より、このあたりを徘徊せる、世にも忌わしき乞食僧あり、その何処より来りしやを知らず、忽然黒壁に住める人の眼界に顕れしが、殆ど湿地に蛆を生ずる如く、自然に湧き出でたるやの観ありき。乞食僧はその年紀三十四五なるべし。寸々に裂けたる鼠の法衣を結び合せ、繋ぎ懸けて、辛うじてこれを絡えり。

容貌甚だ憔悴し、全身黒み痩せて、爪長く髯短し、ただこれのみならむには、一般乞食と変わらざれども、一度その鼻を見る時は、誰人といえども、造化の奇を弄するも、また甚だしきに、驚かざるを得ざるなり。鼻は大にして高く、しかも幅広に膨れたり。