Clásicos japoneses con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lee 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 508.883 caracteres · 1017 pantallas
――おまえも酒の上から、おれも酒の上から、一つもいいことはしていない」
「じゃあ、悪いことをして来たというのか」
「……おまえにはまだ胆にこたえまい。しかし、わしは今、心魂に徹して、半生の苦杯をなめ味わっているのだ……この病褥の中で」
「ハハハハハ、つまらんことをいっている。そもそも兄者人は線がほそくて、神経質で、いわゆる剣人らしい線の太さがない。ほんとをいえば、武蔵などとも、試合をするというのが間違っている。相手がどうあろうと、そんなことはあなたのがらにないことなのだ。もうこれに懲りて、あなたは太刀を持たないがいい、そしてただ吉岡二代目様で納まっているんだな。――どうしても試合を挑む猛者があって退っ引きならなくなった場合は、伝七郎が出て立合ってあげる。道場もこの先は、伝七郎におまかせなさい、きっと、おやじの時代よりは、数倍も繁昌させてみせる。――おれの道場を乗っ取る野心だなどと、あなたさえ疑わなければ、拙者は、きっとやってみせるが」
銚子の底から、もうなくなった酒のしずくを杯へ切っていう。
「……弟!」
清十郎は、ふいに身を起しかけたが、片手のないために、夜具も自由に刎ねられなかった。