Clásicos japoneses con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lee 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 508.883 caracteres · 1017 pantallas
三
見ると、一字、
「ゆ」
と書いてある。
永楽のびた銭一枚を、湯番にわたして、ばばは、湯にはいった。汗をながすのが目的ではなかった。竿を借りて、抓み洗いをした着物を小屋の横に干し、それの乾くあいだ、襦袢一枚で、洗濯物の下にほそい脛をかかえて、往来をながめていた。
三
時々、干し竿の着物を手で触ってみる。陽が強いのですぐ乾きそうに思われたが、なかなか乾かないのである。
襦袢一枚に、湯巻の上へ帯を巻いたきりで、これを待っているので、見得を知らないばばも、往来から見えないように、銭湯小屋の陰に、いつまでも縮まっていた。
すると、往来の向う側で、
「幾坪あるのだい、この地所は――安けれやあ相談に乗ろうじゃないか」
「総坪で、八百坪からござんすよ。値だんは、申し上げたより負かりません」
「高いなあ。すこし、べら棒じゃないか」
「どういたしまして、土盛りの人足賃だって、安かあございません。――それにサ、もうこの界隈には地所はありませんぜ」
「なあに、まだ、あの通り埋立てているじゃないか」
「ところが、葭の生えているうちから、みんなあばき合いで、買手を待っている地所なんざ、十坪だってありませんや。