Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

Lee 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 57.249 caracteres · 115 pantallas

Aozora Bunko

「生憎だな! 薩摩屋敷まではとうてい逃げられまい。どこかにかくれるうちはないか!」

焦って、見探していた三人の目は、はからずも道向うの一軒の木戸へ止まった。ここへ這入れ、と言わぬばかりにその木戸がぽっかりと口をあけていたのである。

なにをする家か、誰の住いか、見さだめるひまもなかった。脱兎のように三人は、小屋から飛び出して、その木戸の中へ駈けこんだ。

奥まった小座敷らしいところから、ちかりと灯が洩れた。――三人は夢中だった。灯を追う虫のようにその灯を追って、まっしぐらに飛びこんだ。

しかし、同時に、先ず小次郎がたちすくんだ。金丸も立ちすくんだ。あとから駈けこんだ直人も、はっとなって立ちすくんだ。

まさしく誰かの妾宅とみえて、その灯の下には、今、お湯からあがったらしい仇っぽい女が、うすい長襦袢をいち枚引っかけたままで、すらりと片膝を立て乍ら、せっせとお化粧をしていたのである。

ふり向くと一緒に、険のある女の目が、ぐっと三人をにらみつけた。――咄嗟に、小次郎が、バッタのように手をすり合わせて言った。

「追われているんです! かくまっておくんなさい」

いいもわるいもなかった。