Clásicos japoneses con furigana
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やまのはる
山の春
高村 光太郎
Lee 山の春 (やまのはる) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3835 caracteres · 8 pantallas
大きくなると、学名を「ツリガネニンジン」という草で、このわか葉はうでてゴマやクルミであえるとうまい。つみとると切口から白い乳が出るのでチチグサともいっている。小川のへりには、トリカブトや、ベコノシタなどという毒草が青々と出ているので用心する。大へんうまそうに見える。植物学者白井光太郎博士はトリカブト毒研究で死なれたそうだが、この光太郎はなかなか気をつけて、毒草にうっかりやられたり、何とかいうフランス王のように毒キノコなどに派手にはひっかからないつもりでいる。
こんなことを書いているうちに季節はかけ足でやってくる。通りすがりの村の青年男女も目がさめたように水々しくなり、手製のスエターも軽そうだ。もうどこを見ても花のないところはなく、幾種類かのヤナギ、ドングリ科のいろいろの花、それにはまことに奇抜な形のが多く、山の中でめいめい一人で意匠をこらしているのかと思うとおかしい。ヤマナシの白、コブシの白、ウグイスカグラの白、その白がみなちがう。ウツギの変種か、ジクナシという淡紅色の花がいちめんに野にさき、ツツジもそろそろ芽ぐみ、やがて山桜が山にあからむ。山桜がいいピンク色にぽうっと山の中腹に目立つようになると、もう三月春分の日は過ぎる。