Clásicos japoneses con furigana
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しまばらしんじゅう
島原心中
菊池 寛
Lee 島原心中 (しまばらしんじゅう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.293 caracteres · 29 pantallas
それには、もっと君たちが、法律に関係のある事件をかいてくれて、法律というものが、人間生活にどんなに重要な意義を持っているかということを、一般に知らしてもらいたいと思うのですがね。もし、君がかくつもりなら、僕が検事時代の経験をいろいろ話して上げてもいいと思いますよ」
そんな、冒頭をしながら、彼は次のような話を、自分にしてくれた。
「俥が、大門を潜ったとき、『ああ島原とはここだな』と、思うと同時に、かなり激しい幻滅とそれに伴う寂しさとを、感ぜずにはいられなかったのです。お恥かしい話ですが、僕が島原へ行ったのは、その時が初めてです。僕は高等学校時代から大学へかけて、六年も京都にいたのですが、その時まで、昔からあれほど名高い島原を、まだ一度も見たことがなかったのです。一、二度、友人から『花魁の道中を見にいかないか』と、誘われたことがあったのですが、謹厳――というよりも、臆病であった僕は、そんなところへ足踏みすることさえ何だか進まなかったのです。
だから、大学を出て間もないその頃まで、僕の頭に描いた島原は、やっぱり小説や芝居や小唄や伝説の島原だったのです。壮麗な建物の打ち続いた、美しい花魁の行き交うている、錦絵にあるような色街だったのです。