Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lee 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 365.120 caracteres · 728 pantallas

Aozora Bunko

若松屋惣七の従妹である。

庭からまわって来た若松屋惣七を、にこやかに迎えた。若松屋惣七が武士を廃業する以前、ふたりは、伯父の家にいっしょにいたこともあり、何事もうちあけて相談しあうなかなのだ。伯父は旗本だった。いまは歌子の弟が継いでいて、歌子は知行の分米で、ひとり者の女としては、かなりゆたかな暮らしをしているのである。この矢来下の家へ来てみると、いつものんきだった。

若松屋惣七は、しばらく歌子を訪れなかったので、あたりが、珍しいものに思われた。縁側に腰をおろして、しきりに庭を見わたしていた。

「旅に出たと聞いたが、いつ戻られたのか」若松屋惣七が、きいた。「江戸におったり、おらなんだり、去就風のごとくじゃから、いつ来ていいかわからん」

笑った。歌子も、その健康そうな顔を、ほほえませた。

「すこし信濃のほうを歩いて来ました」

「ほほう。面白いことでもあったかな」

「はい、面白いといえば面白い。面白くないといえば面白くない――でも、ほこりっぽい江戸よりは、よっぽどましでございます。わたくしは、江戸がいやになると、すぐ旅に出ます。こんども、京都から南、山陽のほうをまわってみようかと思っております」