Clásicos japoneses con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lee 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 365.120 caracteres · 728 pantallas
「きやつが生きておるというのは、確かか」
「たしかに生きているという気が、いたしますのでございます。もし死ねば、何かわたくしの耳にはいるはずでございますから――」
「てへっ! 貞女だなあ、お前は、貞女だよ。見上げたものだよ」
若松屋は、苦々しげに、この皮肉を吐き出した。お高は、はっとして下を向いた。耳のつけ根まで燃えた。
「わたしは、そのお前の良人が、死んでいてくれればいいと思う」
若松屋が、しずかにいっていた。お高は、もう一度はっとして、こんどは、顔を上げた。黙って、惣七を見た。惣七の、ふだんは森林にかこまれた湖のような顔に、いまは、かつて見たことのない情炎がぼうぼうと揺れうごいていた。それが、惣七の顔を、真昼の陽光のなかに、不思議と、影の多いものに見せていた。
冷れいたる茶室に、男の感情が大きくひろがったのだ。死んでいてくれればいい、という露骨なことばのかげには、もし生きていてあうことがあれば、殺すのだという意味も、くんでくめないことはないのだ。お高は、若松屋惣七の冷火のような激情に胸をつかれて、それに、肉体的な苦痛をさえ感じた。それは、自分でも意外な、快感でもあった。